甲南学園創立90周年事業の一つである甲南高等学校・中学校の校舎改築に伴い、剣道場が体育館1Fから新築の甲友会館最上階に移転することとなりました。本年2月に落成の新道場は既に正課授業で使用が始まっておりますが、剣道部員は1978(昭和53年)の改築以来、多くの部員とOBが汗を流した体育館1F旧道場で稽古を続けております。その旧道場も、5月に解体が決定しており、遂にその37年の歴史に幕が下ります。そこで、新道場の「道場開き」も然ることながら、OBから杉本 智昭 先生(甲南高等学校・中学校剣道部顧問)のもとに、思い入れの強い旧道場の「道場納め」を希望する声が寄せられ、春雨に桜舞い散る4月5日、「甲南高等学校・中学校 旧道場稽古納め会」が開催されました。
旧道場稽古納め会当日は、15時の開会に先立ち、高校生6名・中学生5名の現役部員による最後の稽古で、道場も熱気を帯びました。稽古では、当日午前中に近畿大学で実施の近畿大学・甲南大学定期戦を終えて駆けつけた大学指導陣を始め、21名のOBと11名の現役高校・中学校剣道部員が竹刀を交えましたが、現在は稽古から遠ざかっているOBや、部員の父兄も次々に道場を訪れ、名残惜しい床を共に踏みしめつつ、思い思いにカメラを手に取り、また、変わりゆく校舎を散策し、感慨深い1時間30分を過ごしました。稽古終了後は、翌日より現役剣道部員が使用を開始する新道場の内覧会が実施されました。学校敷地内西側に改築の甲友会館・食堂の最上階に位置する新道場は、コート1面が確保できる広さで、楢床材単層フローリング作りの、安全性に配慮した構造の競技室です。高等学校・中学校現役部員は、翌4月6日より、この新道場の使用を開始します。現役部員においては、充実した新たな環境の下、目標達成に向けて日々の修練に励まれんことを期待します。
なお、旧道場稽古納め会当日は、以下の先輩方に足をお運びいただきました。
西村 元信 先輩(高校S38年・大学S42年卒) 安井 洋一 先輩(高校S46年・大学S50年卒)
○西原 正博 先輩(高校S48年卒) ○小林 進 先輩(高校S48年・大学S52年卒)
○井上 林一 先輩(高校S49年・大学S53年卒) ○菅沼 満寛 先輩(大学S53年卒)
太田 儒和 先輩(高校S51年・大学S55年卒) ○石田 明久 先輩(高校S53年・大学S57年卒)
○堂内 昌孝 先輩(高校S53年・大学S57年卒) 小野 哲嗣 先輩(高校S55年卒)
芝好 俊郎 先輩(高校S55年卒) ○森本 俊也 先輩(高校S56年・大学S60年卒)
○奥 智雄 先輩(高校S57年・大学S61年卒) 内海 浩二 先輩(高校S62年卒)
門脇 嘉宏 先輩(高校S62年卒) 矢田 治久 先輩(高校S62年・大学H 3年卒)
○富永 憲 先輩(高校S63年卒) 高見 宗充 先輩(高校H 3年卒)
森下 雄司 先輩(高校H 3年卒) ○入江 尚吾 先輩(大学H11年卒)
友澤 剛 先輩(大学H14年卒) ○村田 和典 先輩(高校H19年・大学H23年卒)
○村田 順紀 先輩(高校H20年・大学H24年卒) ○藤岡 周助 先輩(高校H21年卒)
○米田 太一 先輩(高校H22年卒) ○岸田 柊 先輩(高校H23年・大学H27年卒)
○小林 敬 先輩(高校H26年卒・大学3年次) ○川﨑 晃司 先輩(高校H26年卒)
○宇野 裕貴 先輩(高校H27年卒) ○影山 祐介 先輩(高校H27年卒)
○武田 茂久 先輩(高校H27年卒) ○吉田 皓太 先輩(高校H27年卒)
○印表記は稽古参加者
以上、当日は生憎の雨にも関わらず、32名もの先輩方と杉本先生・現役部員11名の計44名出席のもと、稽古
納め会は盛会の内に幕を閉じました。最後に、旧道場に思い入れの深い堂内昌孝 大学男子監督からのコメントを
紹介いたします。
甲南高等学校・中学校 旧道場稽古納め会に寄せて
思い起こせば、昭和47年4月甲南中学入学。当時は中学1年・2年で剣道の授業、中学3年・高校1年で柔道、高校2年・3年でスポーツ種目の選択授業が有りました。入学した時は野田秀造先生が逝去され、山本三郎先生が甲南大学から甲南中高へ剣道授業を初めて教えに来られた時でした。私は、山本先生に剣道授業で勧誘され6月から剣道部に入部し大学卒業まで続けることが出来ました。この度、取り壊される道場は、一度改装されています。入学した当時は、柔道場・卓球場・剣道道場となっており、この度の道場の三分の二の広さで試合コートがカツカツ一面とれるだけでした。その道場が高校の4月1日に体育館の消防設備点検中に引火し道場上の講堂兼体育館が焼失しました。当日は、春休み中で山本先生に引率していただき練習試合の遠征に行って家に戻った当日か翌日でした。テレビで見覚えのある風景が映っていたのです。翌日から道場掃除、剣道正課授業の剣道防具を取り出し掃除したこと、稽古が出来ないため、毎日甲南大学(野寄の道場)へ通い、仮設のプレハブ道場がグラウンドの端に出来、床の釘と格闘しながらの稽古などなど。プレハブ道場の関係か?残念ながらその年の入部者はいませんでした。昭和53年に私たちが引退してから今日取り壊される道場の形になりました。それから数十年また新たな道場が完成します。良き甲南の伝統を受け継いでいただきながら新たな歴史を作っていただきたく思います。甲南万歳。
昭和53年3月甲南高等学校卒業・昭和57年3月甲南大学卒業 堂内 昌孝